「スペイン移住って最高そう」——気候も食事も人の雰囲気も良くて、SNSで見るスペイン生活はキラキラしている。でも実際に住んでみると、日本では想像しにくい不便さや壁にも必ずぶつかる。
📌 移住の全体像はこちら:スペイン移住完全ガイド【2026年版】ビザ・家探し・生活費・手続きを全部まとめた
この記事では、バルセロナに住んでいる立場からスペイン移住のデメリットを10個、正直に挙げていく。ただデメリットを並べるだけでなく、それぞれに「どう対策すればいいか」もセットで書いておく。移住を決める前に、自分にとって許容できるデメリットかどうかを判断する材料にしてほしい。
スペイン移住のデメリット10選【一覧】
- 役所の手続きが遅く、予約(cita previa)が取れない
- スペイン語(地域によってはカタルーニャ語も)の壁
- 家賃の高騰と家探しの競争
- スリ・置き引きが多い
- 現地で仕事を見つけるのが難しく、給与水準も低い
- autónomoの社会保険料と税金が重い
- 公的医療は専門医の待ち時間が長い
- 生活リズムと「日曜は店が閉まる」文化
- 日本食・日本製品が高くて手に入りにくい
- 日本が遠い(時差・フライト・家族との距離)
1. 役所の手続きが遅く、予約(cita previa)が取れない
スペイン移住で最初にぶつかる、そして多くの人が一番ストレスを感じるのが役所手続きだ。TIE(外国人居住者カード)の指紋登録、住民登録、各種証明書の取得など、ほとんどの手続きにオンラインの事前予約(cita previa)が必要で、この予約枠が常に埋まっている。窓口によって言われることが違ったり、書類が1枚足りずに出直しになったりするのも日常茶飯事だ。
対策:必要書類は多めにコピーを用意し、予約は取れる時間帯を狙って粘る。どうしても自分で進められない場合は、gestor(事務代行)や弁護士に任せるのも現実的な選択だ。TIEの予約についてはTIEカード取得方法でも解説している。
2. スペイン語(+カタルーニャ語)の壁
バルセロナやマドリードの中心部なら英語でもある程度生活できるが、役所・病院・不動産・電話でのやり取りになると、スペイン語ができないとかなり厳しい。さらにバルセロナのあるカタルーニャ州では、役所の書類や学校、看板などでカタルーニャ語が使われる場面も多く、「スペイン語を勉強したのに読めない」ということも起こる。
対策:移住前から最低限のスペイン語(A2程度)を身につけておくと、生活の立ち上げがまったく違う。移住後は語学学校やインターカンビオ(言語交換)を活用しよう。勉強法はスペイン語の勉強方法にまとめている。
3. 家賃の高騰と家探しの競争
ここ数年、バルセロナやマドリードの家賃は大きく上がっている。人気エリアの物件は掲載された当日に何十件も問い合わせが入り、内見までたどり着くのも大変だ。外国人でスペインでの収入証明や保証人がないと、大家に選ばれにくいという問題もある。
対策:最初の1〜2ヶ月は短期賃貸でつなぎ、現地で動きながら本命の物件を探すのが安全だ。契約時のトラブル回避についてはスペインで賃貸を借りるときの注意点を参考にしてほしい。
4. スリ・置き引きが多い
スペインは凶悪犯罪こそ多くないが、観光都市のスリ・置き引きは本当に多い。特にバルセロナは、地下鉄・観光地・カフェのテラス席での被害が日常的に起きている。住んでいても油断すると狙われる。
対策:スマホをテーブルに置かない、リュックは前に抱える、人混みでは財布を分散させる、といった基本を習慣にするだけで被害はかなり減らせる。詳しくはバルセロナの治安・安全情報で解説している。
5. 現地で仕事を見つけるのが難しく、給与水準も低い
スペインは失業率がEUのなかでも高く、10%を超える水準が続いている。スペイン語が堪能でない外国人が現地企業に就職するハードルは高く、仮に就職できても給与は日本の感覚より低めだ。
対策:移住するなら「日本や海外のクライアントから収入を得る」形を先に作っておくのが一番安定する。デジタルノマドビザもこの働き方を前提にした制度だ。仕事の探し方はスペインで仕事を見つける方法にまとめている。
6. autónomoの社会保険料と税金が重い
スペインでフリーランス(autónomo)として働くと、収入に応じた社会保険料(cuota)を毎月納め、さらに四半期ごとに所得税(IRPF)や消費税(IVA)の申告がある。「思っていたより手元に残らない」と感じる人は多い。
対策:移住前に手取りのシミュレーションをしておくこと。ノマドビザ保持者は条件を満たせばベッカム法(税制優遇)の対象になる可能性もある。申告を自分でやるのが不安なら、gestorに任せるのが結局は安上がりなことも多い。
7. 公的医療は専門医の待ち時間が長い
スペインの公的医療は質が高く、かかりつけ医(médico de cabecera)の受診は比較的スムーズだ。ただし専門医や検査は数週間〜数ヶ月待ちになることも珍しくない。また医師とのやり取りは基本的にスペイン語になる。
対策:民間医療保険に入っておけば、専門医にも比較的早くかかれる。英語が通じるクリニックを事前に調べておくと安心だ。詳しくはスペインの医療機関・病院の使い方を参照。
8. 生活リズムと「日曜は店が閉まる」文化
スペインの夕食は21時以降が普通で、昼休みを長くとる店も多い。日曜日は多くのスーパーや商店が閉まるので、日本のように「いつでも何でも買える」感覚でいると困る。役所や銀行の窓口も午前中しか開いていないことが多い。
対策:買い物は土曜日までにまとめて済ませる習慣をつければ、慣れてしまえばむしろ気楽だ。このゆったりしたリズムを「メリット」と感じられるかどうかは、スペイン移住が合うかどうかの分かれ目でもある。
9. 日本食・日本製品が高くて手に入りにくい
バルセロナやマドリードにはアジア系スーパーや日本食レストランもあるが、日本の調味料や食材は日本の2〜3倍の値段になることも多い。地方都市ではさらに手に入りにくくなる。
対策:現地の食材で代用できるものを覚える、一時帰国の際にまとめ買いする、といった工夫が現実的だ。
10. 日本が遠い(時差・フライト・家族との距離)
日本との時差は7〜8時間。日本のクライアントとの打ち合わせや家族との電話は、時間帯の調整が必要になる。直行便も限られていて、一時帰国には乗り継ぎを含めて丸1日近くかかる。親の介護や冠婚葬祭などで急に帰らなければならないときに、すぐ動けないのは精神的にも負担になる。
対策:日本の家族とは事前に「何かあったときどうするか」を話し合っておく。孤独感については、現地の日本人コミュニティとつながっておくと気持ちがかなり楽になる(バルセロナの日本人コミュニティ)。
デメリットがあってもスペイン移住を選ぶ理由
ここまでデメリットばかり書いてきたが、それでもスペインに住み続けている人が多いのは、気候・食事・人との距離感・仕事と生活のバランスといったメリットがそれを上回るからだ。大事なのは、デメリットを知らずに移住して後悔するのではなく、知ったうえで「自分なら対処できるか」を判断することだ。
メリットも含めた全体像はスペイン移住のメリット・デメリット、実際にしんどかった体験はスペイン移住で正直しんどかったこと3つで詳しく書いている。自分に向いているかどうかはスペイン移住に向いている人・向いていない人のチェックリストで確認してみてほしい。
まとめ:デメリットを知っておけば、移住後の後悔は減らせる
スペイン移住のデメリットは、役所手続き・言語・住まい・治安・仕事とお金・医療・生活リズム・日本との距離と、生活のあらゆる場面にある。ただ、そのほとんどは事前に知っておけば対策できるものだ。
ビザや手続きの不安を移住前に解消しておきたい人は、個別相談も活用してほしい。