スペインに移住したとき、税金まわりのことをちゃんと理解できていなかった。ノマドビザを取って、いざ生活を始めたら「ベッカム法って申請したほうがいいの?」という疑問が出てくる。この記事では、ベッカム法の基本とノマドビザとの関係を整理する。
そもそもスペインの税制はどうなっている?
スペインで働く人は、居住者として IRPF(所得税) の対象になる。税率は累進課税で、所得が上がるにつれて税率も上がる仕組みだ。
年収に応じた大まかな税率(国税部分)は以下の通り。
- 〜12,450ユーロ:19%
- 12,451〜20,200ユーロ:24%
- 20,201〜35,200ユーロ:30%
- 35,201〜60,000ユーロ:37%
- 60,001〜300,000ユーロ:45%
- 300,001ユーロ〜:47%
フリーランス(自営業者=autónomo)の場合、確定申告(IRPF年次申告)のほかに、四半期ごとの Modelo 130(所得税前払い) と Modelo 303(VAT申告) の提出義務もある。
ベッカム法とは何か?
ベッカム法(正式名称:Régimen Especial de Trabajadores Desplazados / RETD)は、スペインに移住してきた外国人や帰国者が、居住者であっても 一定期間は非居住者扱いの税率(24%固定) で課税される制度だ。
かつてサッカー選手のデイヴィッド・ベッカムがレアル・マドリードに加入した際にこの制度を利用したことから、「ベッカム法」という通称がついた。
ベッカム法の主なメリット
- 税率が24%固定(60,000ユーロまで)になる
- 通常の累進課税(最大47%)より大幅に有利になるケースがある
- スペイン国外の所得は基本的に課税対象外(スペイン源泉所得のみ課税)
- 適用期間:最大6年間
注意点・デメリット
- スペイン国内の所得が60,000ユーロを超えると、超過分に47%が適用される
- 申請は移住後6ヶ月以内に行う必要がある(期限厳守)
- 申請後は通常の居住者制度に戻ることができない
- 配偶者・家族へのメリットの波及は限定的
ノマドビザとベッカム法の関係
2023年以降、スペインのデジタルノマドビザ(Visado para Teletrabajadores Internacionales)の保持者も、ベッカム法の申請対象に含まれるようになった。これはスタートアップ法(Ley de Startups)の改正によるもので、ノマドビザ保持者にとって大きなメリットになりうる。
ただし、いくつかの条件がある。
- スペインに移住する前の5年間、スペインで税務上の居住者ではなかったこと
- スペイン国内のクライアント・雇用主からの収入が、全体の20%未満であること(フリーランスの場合)
- 移住後6ヶ月以内にモデロ149(Modelo 149)で申請すること
ベッカム法は全員に得か?
スペイン国内の所得が低い場合(例:年収20,000ユーロ以下)は、通常の累進課税のほうが有利になることもある。ベッカム法の24%固定税率が「お得」かどうかは、所得水準によって異なる。
目安として、年収が約30,000ユーロ以上のフリーランスや、海外クライアントからの収入が多い人ほどメリットが大きい傾向がある。
まとめ
- スペインの通常税制は累進課税(最大47%)
- ベッカム法は最大6年間、24%固定で課税される特例制度
- ノマドビザ保持者も2023年以降は申請対象に
- 申請期限は移住後6ヶ月以内(Modelo 149)
- 全員に有利とは限らない——所得水準で判断が変わる
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